あなたは陰陽師(おんみょうじ)をご存知ですか?
おそらく、ほとんどの方は、
- 陰陽師ってなに?
- 結界ってなに?
と思うかもしれませんね。
現代人(特に若い世代)にとって「陰陽師」や「結界(けっかい)」という言葉は、きっとアニメや漫画の世界の言葉なのかもしれません。
この記事を書いている40代の私にとっても、陰陽師や結界という言葉は、リアリティのある言葉ではありません。
科学の進んだ現代に生きる我々にとって、「陰陽師」や「結界」といったものは、興味のある方にとっては重要でも、万人に影響を与えるモノではないようです。
しかし、昔の日本では(特に平安時代から明治時代末期まで)、陰陽師の存在や影響力は非常に大きく、陰陽師が吉凶を占い、結界を張ることで国や天皇を守る役割を担っていたそうです。
昔の日本では、陰陽師はリアルな存在で国を守る重要な役割を担っていたんですよ。
この記事では、「陰陽師の結界」や「結界の種類や作り方」について詳しく解説していきます。
興味のある方もない方も、是非最後まで読んでみてくださいね。
陰陽師とは?
陰陽師と聞いて初めに思い浮かぶのはおそらく安倍晴明(あべのせいめい)でしょうね。
作家の夢枕獏さんが書いた小説「陰陽師」は映画化やテレビドラマ化もされ、陰陽師ブームが巻き起こりました。
『陰陽師』(おんみょうじ)は、夢枕獏による小説。文芸春秋刊。平安時代の陰陽師・倍晴明の活躍を描いた伝奇小説である。晴明のパートナーとして同時代の貴族で楽人の源博雅が登場する。
初出は『オール讀物』1986年9月号に掲載された短編小説「陰陽師」(単行本収録時に「玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること」に改題)。単行本は1988年に第1作『陰陽師』が刊行されて以降シリーズ作品となっている。
1993年に岡野玲子により漫画化された。2001年にはNHKにて稲垣吾郎主演でテレビドラマ化、野村萬斎主演で映画化、2015年にテレビ朝日にて市川染五郎主演でテレビドラマ化された。また、舞台化もされている。
現代の私たちは、小説や映画の安倍晴明の印象が強すぎて、陰陽師というのは呪術師や占い師のイメージが強いと思います。
しかし、実際の陰陽師というのは、国から正式に認められた職業(国家公務員のような存在)で、天文観測を行って、その結果を考察して暦や時間を作成していました。
そして、天文観測の結果から吉凶を占っていたのです。
分かりやすく言うと、陰陽師は「天文学者」と「占い師」を兼ね備えた、国家公務員ですね。
陰陽師の主な仕事は天文観測で、占いはメインではありませんでした。
陰陽師・安倍晴明には数々の伝説があります。YouTubeにもいくつか動画あがっていますので、興味のある方は是非ご覧ください。
ズバリ、結界とは?
陰陽師と聞くと連想するのが、「結界」や「式神(しきがみ)」ではないでしょうか?
そもそも「結界」とは、どういったものなのでしょうか?
名前は聞いたことはあるけれど、正確な意味までは知らないという方が多いのでないでしょうか?
まず、結界の言葉の意味を調べてみますと、
けっ‐かい【結界】 の解説
1仏語。
㋐教団内の僧が戒律を犯さないように一定の区域を制限すること。また、その区域。外からの出入りを制限する摂僧界 (しょうそうかい) 、衣を脱いでも過ちとならない摂衣界 (しょうえかい) 、食物の貯蔵が許される摂食界 (しょうじきかい) がある。
㋑密教で、修法によって一定の地域に外道・悪魔が入るのを防ぐこと。
㋒仏道修行の障害となるものの入ることを禁じること。また、その場所。
㋓寺院で内陣と外陣 (げじん) の間、または外陣中に僧と俗の席を区別するために設けた木の柵 (さく) 。
2 茶道具の一。竹や木でつくり、道具畳と客畳の境に仕切りとして置くもの。
3 商家で、帳場の囲いとして立てる格子。帳場格子。
引用元:結界(けっかい)の意味 - goo国語辞書
どうやら結界とは神聖な場所(浄)とそれ以外の場所(不浄)とを区別するための考え方のようですね。
簡単にまとめると、
結界とは
- 神の領域と人
- 彼岸と此岸
- 向こうとこちら
- そうであるものとそうでないもの
それらを「区切る」ものと考えられますね。
陰陽師の結界は「区切る」ということから発展し「区切って守る」「区切って封印する」という形になったと言われています。
陰陽師は国家の中心である天皇と公家を守るのが大きな仕事の一つでした。
天皇が住んでいる御所を守る、京都を守る、ひいては日本という国を守るのが陰陽師の使命だったのです。
そのために「結界」を張り、悪しきもの、霊的なものからの攻撃を防ぎ、守っていたようです。
結界の種類は?
結界が浄不浄を「区切る」、あらゆるモノを「区切って守る」「区切って封印する」ということは分かりました。
では、現代でも結界は存在するのでしょうか?
どんな種類の結界が存在するのでしょうか?
結論から言うと、結界は現代の日常生活でも存在します。
仏教、神道などの宗教分野と茶道や落語などの芸能分野、そして日常生活の中にも気付かないだけで「結界」は存在します。
葬儀の結界
仏式のお葬式では幕が張ってありますよね。
また神道のお葬式では、しめ縄が張ってあります。
これらは、その空間が浄化された領域であることを表しているそうです。
これが結界なのだそうです。
盛り塩も特定の場所から不浄を払う役割、結界としての役割があるそうです。
仏教の結界
初期の仏教では聖域と俗と区別することで、お坊さん・僧侶が戒律を守れるように工夫したと言われています。
密教では、手で仏を一体化するために印(いん)を結ぶそうです。
これは修行者と仏がつながるため、結界を作る方法なのだそうです。
また、密教では修行を行う場所に結界を張ることで魔障が入り込まないようにします。
この場所を「結界地」と呼びます。
神道の結界
神道には、「穢れ(けがれ)」という思想があります。
「穢れ」とは、「気が枯れている状態」をいうのだそうです。
つまり物理的な汚れのこともいいますが、この場合は生命力が枯れたもの、死や流れが止まった血に接することを忌み嫌うという観念です。
家を新築した時には、地鎮祭といって土地のお祓いをしてもらうことがありますよね。また、神式の結婚式や各種祈願においてもお祓いをします。
お祓いというのは、さまざまな穢れを除くための儀式です。
神道においては、不浄なものを清めるために「結界」を作ると考えられます。
お箸も結界
神道では、八百万の神、米粒の一つにも神様が宿ると考えます。
神様の宿る食べ物を口に運ぶお箸には、橋渡しの意味があるとされています。
「いただきます」と手をあわせることは、食物の神様へ感謝して結界を解き、食べ物を口に運ぶ、ということも考えられます。
「はし」つながりですが、川にかかる橋も、あの世とこの世を分ける結界と言われています。
落語の結界
落語の世界にも結界の考え方は存在するようです。
落語家は座布団に座り、独りで右を向いたり左を向いたりして登場人物を演じ分け、物語を進めていきますよね。
落語家が舞台に登場して座布団に座りお辞儀をする際、扇子を自分と客席との間に平行に置きます。
これは結界を作る意味があるそうです。
あちらは聞き手でお客様の領域、こちらは話し手で演者の領域、という意味ですね。
しっかりと結界を作ることで、話の世界にお客様を誘導しやすくなるそうです。
普段の生活でも、結界を作る、区切ることの効用はまだまだたくさんありそうですね。
結界の作り方
陰陽師の結界の作り方
現在、陰陽師として活動している花井さんの動画がYouTubeにいくつも上がっています。
その中に陰陽師が伝授する「結界の作り方」という動画があります。
興味のある方は是非ご覧ください。
簡単に結界の作り方を説明すると、
結界の作り方
- まず両手で刀印・剣印を作り、そのままの形で腰の左側に添えます。右手が刀で左手が鞘になります。
- 右手(刀)を抜き、正面に五芒星(ごぼうせい)を描く。
- 両手の掌を広げる(印を散ずる)
以上が、結界の作り方になります。
詳しくは下の動画をご覧ください。
なにか嫌な空気を感じる、嫌な雰囲気な場所へ行かなければならない、そういった時にこの方法で結界を作ると、悪しきモノから身を守ることができるそうですよ。
注意
現在、陰陽寮は存在しないため、本来の陰陽師は存在しません。たとえ陰陽師としての実力があったとしても、すべての陰陽師は自称陰陽師・民間の陰陽師となります。
詳しく知りたい方は下記サイトをご覧ください。
自分でできる結界の作り方と種類
陰陽師以外でも結界を作ることはできます。
自分でできる簡単な結界な作り方を紹介しましょう。
盛り塩による結界
一番ベーシックな結界を作る方法として「盛り塩」があげられます。
小皿に塩を盛り、部屋の四隅に置きます。
塩は一週間を目安に取り替えましょう。
結界の効果を高めるのには、塩の量が重要なのだそうです。
女性のこぶしほどの大きさが目安です。
使った塩は邪気を含んでいるので捨てましょうね。
パワーストーンを使った結界
強力な結界を張る方法としては、パワーストーンを使う結界があります。
パワーストーンを使った結界は、マイナスに作用する恐れもあるため、正しい方法で実践しましょう。
結界に適したパワーストーンはいくつかあります。代表的なパワーストーンは3つです。
- ヘタマイト
- ブラックトルマリン
- セレナイト
この3つのパワーストーンを組み合わせて結界を張ると効果が高まると言われています。
石はできるだけ大きな丸玉か原石を選びましょう。
パワーストーンを部屋の四隅に置くことで結界を張ることができます。
注意
四隅に石を置いて結界を作ることは、反対に家の中に悪いモノを閉じ込める可能性があります。除霊やお祓い、お清めをしてから結界を張るようにしましょう。
音を利用した結界
音を利用した結界というのは、音を出すことによって邪気が払われる現象を利用した結界を張る方法です。
- 手を叩く
- 足踏みをする
- 鈴などをならす
- 声を出す
「ショ!」っというのは、払い言葉と言われ、心の中で言うだけでも効果があるそうです。
ポイント
音を出すことが邪気払いの基本ですが、自分の身体の前で音を出す、音を鳴らすのがポイントになります。
水による結界
箪笥の上などに水を入れたコップやグラスを置きます。
水を置くことで邪気を払い、結界を張る効果があるそうです。
水は邪気を含んでいるので、飲まずに捨てましょう。
水は毎日取り換えるようにしましょう。
いやな相手に対して結界を張る
一線を引く:その人との間にボールペンなどをそっと置く。
たったこれだけのことでも結界の効果はあるそうです。
嫌な相手がいる人は、そっと試してみてはいかがでしょうか。
下の動画は、自宅で簡単に結界を張る方法の動画です。
興味のある方はご覧くださいね。
まとめ
結界とは浄不浄を区別するための方法だったのですね。
- 神の領域と人
- 彼岸と此岸
- 向こうとこちら
- そうであるものとそうでないもの
陰陽師は結界を張り区別することで悪しきモノの侵入を防ぎ、あらゆるものを守っていました。
平安時代の陰陽師は結界を張り、天皇を守り、公家を守り、京都を守り、ひいては日本を守る役割を担っていたんですね。
そして現在も「結界」とう考え方は残っており、我々現代人も日常生活で取り入れていることが分かりました。
今後、神社やお寺に参拝するときは、結界の存在を意識してお詣りするのもいいかもしれませんね。