〈2020年11月15日〉
けど、、正直、わからないことだらけ。
お遍路でやってはいけないこと、NGな行動があれば事前に知っておきたいな。
お遍路と聞いて、すぐに「四国八十八か所巡り」や「お大師様」、「弘法大師・空海」を思い起こすことのできる人は、若い年代では少ないかもしれませんね。
私は子どものときに両親と一緒に「区切り打ち」という回り方で、何ヵ寺かお参りした経験があります。
30年以上前ですが、両親と一緒に、白い服(白衣・びゃくえ)を着て、杖(金剛杖・こんごうづえ)を持ってお参りをし、宿坊に泊まった記憶が残っています。
子どもだった私は、意味も分からずに父母について歩きました。
非日常の体験だったこともあり、四国の山並みや白衣を着た大人たちの姿が、とても強く印象に残っています。
「お遍路巡り」といえば、昔は命がけの修行だったそうです。
今ではお遍路巡りを体験できるツアーが組まれたり、誰でも気軽にお参りすることができます。
私も含め、気軽にお遍路巡りを体験したいと思っている人はけっこう多いようですね。
今の「お遍路」は、ほとんどの方は日帰りツアーや宿泊プランで、バスや車に乗ってお参りをする方が多いそうです。
お遍路には「やってはいけないこと」、「守らなければならないルールやマナー」があるんだよ
この記事は、「お遍路でやってはいけないこと」、「お遍路巡りのマナー」について書いています。
「お遍路巡りが初めてで、分からないことが多い」という方は是非読んでみてください。
「お遍路でやってはいけないこと」、「お遍路巡りのマナー」を事前に勉強しておくことで、きっと、より充実したお遍路巡りの旅になると思います。
お遍路でやってはいけないこと
お遍路には、やってはいけないこと。守るべきマナーがいくつかあるんだ。
それでは、見ていきましょう
手を打ってはいけません。
お遍路で参拝するときに、手を打ってはいけません。
神社では「柏手を打つ」と言って、手を叩いて参拝しますが、お寺では「手を合わせる」ことに意味があり、手は叩きません。
合掌とは、読んで字のごとく「掌を合わせる」ことです。仏教では右手が仏様、左手が自分自身を表しており、両手を合わせる、「合掌」することで仏様と一つになるという意味があります。
鐘は最後に打ってはいけません
鐘楼(しょうろう)を鳴らすタイミングは、初めての人はよくわかりませんよね。
最初に鐘を鳴らすのか、それとも、最後に鳴らすのか。
鐘を鳴らすのは参拝に訪れた合図になります。
ですので、鐘は参拝前に突くのが、正しいタイミングになります。
鐘は、ゆっくりと二度つきます。
鐘は撞いても撞かなくてもよいとされています。
鐘が撞けないお寺もあります。
鐘を撞く時間帯に気をつけましょう。
早朝や夜遅くに鐘を撞くと、ご近所の方の迷惑になります。
鐘を撞くのは、午前7時から午後5時までの間にしましょう。
参拝後や、お寺を出るときに突く鐘は「出鐘」「戻り鐘」といい、これは葬儀の出棺の時に鳴らす死人に送る鐘、現在の葬儀場から火葬場に出発するときに霊柩車がクラクションを鳴らすのと同じ意味になります。
参拝後に鐘をついてしまったとしても、また最初からお参りをし線香をあげてお経を読めば問題はないそうです。
鐘は最後に打たないようにしましょう。
金剛杖は大切に扱わなくてはいけません。
お遍路の際、多くの方が金剛杖を持って巡礼します。
金剛杖は御大師様の化身、弘法大師そのものとされています。
同行二人といって、杖を持ってお遍路をすることは弘法大師と共にお遍路をしているという意味があります。
金剛杖のカバーを外すと卒塔婆のような形になっており、これは、厳しい命掛けのお遍路の道中で命を落とす可能性も考えられるので、金剛杖をお墓として持ち歩いているということです。
橋の上では杖をついてはいけません
昔、弘法大師・空海は、巡礼中、橋の下で野宿をしていたと伝えられています。
弘法大師・空海の魂は今でも修行を続けているとされ、橋の下で御大師様がお休みになられているかもしれないという考えから、橋の上で金剛杖をついてはいけないとされています。
ろうそくの火はよその火をもらって点けてはいけません
もらい火はいけません。
自分のろうそくは持参したマッチやライターを使い、火を点けましょう。
他の人のろうそく、先にお詣りをした方のろうそくの火から、もらい火をして自分のろうそくに火をつけるのはマナー違反です。
線香は奥から立てなければいけません。
線香に火を点けて常香炉に立てるときは、手前ではなく、奥から立てるようにしましょう。
手前に立ててしまうと、後から参拝される人が、線香を立てるスペースがなくなってしまいます。
自分の事だけ考えるのではなく、他人を思いやる心を持って参拝しましょう。
トイレには金剛杖や輪袈裟は持ち込んではいけません
巡礼中は、金剛杖(こんごうつえ)、輪袈裟(わげさ)、数珠(じゅず)、菅笠(すげがさ)、さんや袋などの道具は、トイレなどの不浄な場所には持ち込んではいけないとされています。気をつけましょう。
柄杓を使用したら柄を清めなくてはいけません
手水場で手を洗い清めた後は、使用した柄は残った水で清めなくてはいけません。
手を洗い心身を清めた後は、柄杓(ひしゃく)を縦にして、残ったお水で持ち手の部分を水で清めましょう。
宿に着いたら最初に金剛杖を清めなくてはいけません
金剛杖は御大師様(弘法大師・空海)の化身とされています。
宿に着いたらまずは金剛杖を清めることが、御大師様を大切に扱うことにつながります。
お遍路の本来の目的を忘れてはいけません。
お遍路は本来は仏教者の修行です。
アウトドア感覚で参拝したり、SNSに投稿することが目的になってしまうと本末転倒です。
奈良の大仏の写真だけ撮って、肝心のお参りをしないのと同じことですね。
楽しんで参拝することは、決して悪いことではないと思いますが、
地元の方々に失礼のないように最低限のマナーを必ず守りましょう。
「お接待」をうけるのが当たり前と思ってはいけません。
「お接待」はあくまでも地元の方々の善意です。
「お接待」をうける機会があれば、当たり前と思わずに感謝して必ずお礼を言いましょう。
地元の方々が気持ちよく「お遍路さん」を受け入れてくださるうちは、
「お接待」の文化も、後世にも残っていくでしょう。
マナー、ルールを守って気持ちよく参拝しましょう。
当たり前のマナーを守りましょう
お遍路の道中や境内で、タバコのポイ捨て、空き缶やペットボトルを道に捨てる、飲食禁止の場所で飲食をする、大声で騒ぐ、などの迷惑行為がマナー違反であることは、百も承知のことですよね。
常識を守り、基本的な公共マナーを守りましょう。
お遍路でやってはいけないことがなぜあるのか
遍路者は「修行者」
四国八十八ヶ所の各札所は、巡礼の寺であると共に地元の檀信徒の寺院であるという二面性を持っています。
また、遍路者を札所の寺院や周辺の住民は「修行者」と見る厳しい目も持っています。
そのようなことから、遍路者専用の施設は、必要最小限のもので、伝統的に寺や地域住民の善意によって今日に至っています。
昔に比べて今は随分と施設が改善されておりますが、観光地のような札所ばかりではありませんので、その点をご理解ください。
「トイレを借りた場合は、汚さないようにする」「早朝には民家の近くでは車のクラクションやエンジン音を大きくしない」「自分の出したゴミは持ち帰る」等、旅のマナーを守って遍路をしましょう。
四国の人々が、遍路者を「お遍路さん」と呼んで、尊敬し、温かくむかえてきたのは、お大師さまに帰依をして懸命に修行をされている姿を見てきたからです。
減り張りのある遍路を心がけながらお参りください。
歩き遍路でやってはいけないこと
無理なスケジュールを組んではいけません。
お遍路の初日はやる気もあり元気ですので、距離を稼ごうと頑張りすぎる方が多いようです。
歩き遍路は1400kmの道のりを歩くわけですから、日数がかかります。
足の速い人でも約45日、遅い人でしたら60日はかかると言われています。
最初の数日に頑張って歩きすぎると、足や腰を痛める可能性があります。
お遍路は1日に約25km~40kmぐらい歩くと言われています。
すごいですよね。
毎日25km~40km歩くことを、約50日続けるわけですから、かなりの体力が必要になります。
ましてや、重いリュックを背負っての旅です。
2~3日で足に水膨れとマメができる方が多いそうです。
半数の方は、途中でケガをしたり、体調を崩してしまい、リタイヤされます。
88番札所まで歩き通すことができる人は全体の30 パーセントにも満たないそうです。
お遍路に出発する前に、事前に40kmくらいを歩く練習をしましょう。
そして、お遍路が始まれば、自分の体調や体力と相談して、無理のないペース配分を考えましょう。
また、季節選びも重要です。
夏と冬のお遍路はやめた方がいいでしょう。
夏の猛暑日、冬の寒い日のお遍路は過酷です。
雨も降れば、雪の日もあるでしょう。
どうしても、夏か冬に行かれるのであれば、熱中症対策、防寒対策など、しっかり準備しましょう。
体力に自信のない方、お遍路が初めてのかたは、夏場や冬場は危険ですので、避けたほうが良いでしょう。
初めての方は、お遍路しやすい季節(春か秋)を選んで巡礼することをお薦めします。
歩き遍路をされる方の中に、野宿をする方もおられるのですが、最近は盗難や事件も起きているそうなので、なるべくならやめた方がいいでしょう。
車(バイク)遍路でやってはいけないこと
免許を取ってすぐの方(初心者マーク🔰)は、運転レベルが上達してから車遍路に挑戦する方が良いでしょう。
なぜかと言うと、
お遍路の道は車やバイクが走りやすい舗装された道ばかりではないからです。
山道、狭い道(対向車とすれ違うことが難しい)、でこぼこ道など、難所が多いです。
また、冬場は雪道もあり非常に危険です。
カーナビがあっても、道に迷う方も多いと聞きます。
お遍路の道中でトラブルは必ず一度は起こると考えた方がいいでしょう。
車が故障(エンジントラブルやパンクなど)することも考えられます。
JAFに加入することはもちろんですが、簡単な修理やトラブルに対応できるようにしておきましょう。
お遍路でやってはいけないことをやってしまうとどうなるのか
罰則(罰金など)とかはあるの?
参拝の時に、やってはいけないマナーを守らなかったとしても、罰則は特にないんだ。
お遍路の道中でのマナー違反、ルール違反は、地元の方々の迷惑になるので絶対にやめようね。
もちろん、違法行為は論外だし、器物破損をしたら弁償しないといけません。
白衣(びゃくえ)に輪袈裟(わげさ)、菅笠(すげかさ)を被り、さんや袋(ずた袋)を肩からかけるのが、遍路者の正しい服装とされているよ。
持ち物は、(金剛杖(こんごうつえ)、納経長(のうきょうちょう)、経本(きょうほん)、納め札(おさめふだ)、数珠(じゅず)、ろうそく、線香(せんこう)、ライターやマッチは持って行った方がいいとされているよ。
白衣を着て、輪袈裟をかけて、金剛杖を持っている方が、御大師様と一緒に旅をしていることになり、心強いんだね。これを、同行二人(どうぎょうににん)というんだ。
そうだよ。
お遍路の服装や持ち物や参拝方法は基本的に自由なんだよ。
でも、自由であるからこそ個々人のモラル、マナーが問われるんだ。
お遍路巡礼中にやってはいけないことというのは、違法行為を除けば、
すべて巡礼者自身のモラルにかかってきます。
自分はなんのためにお遍路をしているのか、
他の遍路者はどんな想いで巡礼をしているのか、
地元の方々は遍路者をどんな想いで見ているのか、
想像してみましょう。
罰則はなくても、モラルを守りましょう。
御大師様が、神仏やお天道様が、
天から見ているかもしれませんよ。
正しいお参りの方法・マナーを知りましょう
初めてのお遍路では分からないことも多く、知らず知らずのうちにマナー違反をしていることも考えられます。
正しいお参りの方法を知れば、マナーを守って安心してお参りできるね。
札所参拝手順
一 、山門(仁王門)にて
山門(仁王門)で合掌、一礼して境内に入ります。 門の内側(境内)は仏さまの聖域です。 仏さまにこれからお参りするという思いで行いましょう。
二、身を清める
手洗い所(トイレの事ではありません)で身を清めます。 手を洗い、口をすすぐことは、身体の外と内を清める行為です。 左手→右手の順に水をかけ、左手で受けた水で口をすすぎ、 残りの水を柄杓の柄に流してすすぎます。
三、鐘打ち
鐘は参拝前の合図ともされるので鐘が自由に撞けるところでは お参りの前に1度だけ撞くとよいでしょう。もし撞き忘れたとしても帰る際は撞かないとされます。理由としては「出る鐘」が「出金」ともとれるので撞かない、さらに死者を送る鐘を「でがね」と呼ぶからともいわれています。 鐘はただ大きい音を出せばよいというものではなく、その音色を仏様に届けるものです。むやみに撞木(しもく)を鐘に大きく撞つくのではなく、無理のない範囲で鐘を撞き、音色を奏で、撞き終わると撞木が鐘に何度も当らない様に紐を落ち着けます。
四、本堂(金堂)へ
お参り本堂へ向かい献灯、献香をし、納札を納め、鐘を打ち、お賽銭を納め、礼拝し、お経(読経、写経等で)を奉納します。 写経は霊場(札所)または菩提寺に指導をうけるのが好ましいでしょう。納礼はお堂の納礼箱に、写経は写経箱に納めます。写経灯明料は、お賽銭とともに各お堂の賽銭箱に納めましょう。
五、大師堂へお参り
本堂と同じ手順で献灯、献香をし、納札を納め、鐘を打ち、お賽銭を納め、礼拝し、お経(読経、写経等で)を奉納します。大師堂での勤行はお大師さまがご本尊となりますので、勤行次第から「ご本尊真言」を省きます。 本堂と大師のお参りが終わって時間に余裕があり、他のお堂があれば随意にお参りします。
六、納経所にて
参拝が終われば、納経所でお納経(ご朱印)をいただきます。また、その際に各寺院のご本尊が描かれた御影(おみえ)もいただき、保存帳などにしまいます。原則として 諸堂の読経後に納経所でお 納経(ご朱印)をいただきます。ただし、納経時間が終了直前の場合は、順序が逆になりますが、霊場(札所)にその理由を告げ、読経前にお納経を受けることができます。
七 、山門( 仁王門)にて
山門(仁王門)で合掌、一礼して境内を出ます。 お参りしたことで仏さまとご縁が結ばれた(結縁) ことを感謝する思いで行いましょう。
その他気をつけるべきこと
※複数人で勤行(読経)する際は、他の参拝者の迷惑にならないように、できるだけ一ヶ所に揃うように心がけましょう。団体の場合は、お堂の正面を空け、左右のどちらかにまとまりましょう。
※お線香はなるべく中心に近い所から、お蝋燭は上の段からお供えすると、後からお参りされる方の妨げになりません。 またお線香に火をつけた際の、マッチの燃え残りなどは香呂に入れないようにしましょう。
香炉は仏さまやお大師さまにお線香をお供えする場所です。お線香をあらかじめ数本ずつセロハンテープなどの樹脂性のテープでまとめるのは控えましょう。 まとめた所で火が消えてお線香が必ず燃え残り、後からお参りする方の妨げになります。※納札入れから上記の札を持ち帰るのは、お勧めできる行為ではありません。それらはお参りされた方が仏さまやお大師さまにお供えしているものです。道中で縁あっていただいたものや、納経所などで お尋ねになり、お渡しできるものがあればいただけます。
お遍路のお作法動画
十善戒(じゅうぜんかい)
御大師様が大切にされていた教えで、人としてやってはいけないことが書かれているんだ。お遍路の行動規範とも言われているよ。
十善戒は、古来より遍路の行動規範といわれております。
アクセルを踏みすぎず、ブレーキをかけすぎず、適度にアクセルとブレーキをきかせて、人生の安全運転をするための戒めです。
この十善戒を各札所のご本尊さま、お大師さまのご宝前でお唱え(宣言)し、自らに善いおこないをすることを努力すると言い聞かせ、遍路されることを望みます。
十善戒(じゅうぜんかい)
一、不殺生(ふせっしょう)生きているもの、すべての命を大切にする。
二、不偸盗(ふちゅうとう)物を盗まず、他人のものを大事に扱う。
三、不邪淫(ふじゃいん)性は尊いものであり、節度をもって性を考える。
四、不妄語(ふもうご)うそ、偽りはいわず、真実を話すことを心がける。
五、不綺語(ふきご)虚飾のことばは話さず、飾らない本当のことばで話す。
六、不悪口(ふあっく)悪口は言わず、相手を思いやることばで話をする。
七、不両舌(ふりょうぜつ)どの人に対しても、二枚舌を使わず、温かな気持ちで話す。
八、不慳貪(ふけんどん)強欲をはり、貪ることなく、感謝の気持ちで過ごす。
九、不瞋恚(ふしんに)怒りをおさえ、心を落ち着けて、優しい気分で過ごす。
十、不邪見(ふじゃけん)邪な間違った考えを捨て、どの人にも平穏な気分で接する。
引用:https://88shikokuhenro.jp/basic/ohenro-no-kokoroe/
まとめ
お遍路で、やってはいけないこと、お遍路のマナーについて調べてみました。
お遍路は古くから今に伝わる仏道修行で、
地元の方々に支えられて成り立っていることが分かりました。
お遍路のマナーを守り、いつまでもお遍路の修行の文化が続くといいですね。