昭和のプロレスラーは「プロレス=八百長」という、世間からのネガティブなイメージと戦っていました。
そんな中でプロレスラーである北尾選手が、同じプロレスラーに対し「八百長野郎!この野郎!」という暴言を吐いてしまいます。
第60代横綱である北尾選手ですが、力士時代からトラブルがたえない選手でした。
今回は、北尾選手の「八百長発言」について紹介します!
北尾光司の八百長発言!
事件が起きたのは1991年4月1日、神戸ワールド記念ホールで開催されたSWS興行での出来事です。
新日本プロレスからSWSへと移籍した北尾選手と、アメリカWWF(現WWE)所属のジョン・テンタ選手との試合後に、北尾選手は暴言を吐きます。
八百長野郎!この野郎!八百長ばっかりやりやがって!
北尾光司
プロレスラーでありながら、プロレスを八百長呼ばわりする発言に、選手・観客・関係者は騒然とします。
試合後の控室でも北尾選手の怒りは収まらず、SWSの田中社長夫人に対して「うるせぇババア!」と暴言を吐き、イスを投げつけたといわれています。
この一件により、北尾選手はSWSから解雇。
SWS取締役の天龍選手も責任を取り、田中社長に辞表を提出するという事件です(辞表は田中社長により保留されます)
北尾とジョン・テンタの関係は?
この事件を深掘りするためには、北尾選手とジョン・テンタ選手の関係を知る必要があります。
2人に共通することは
- 元力士
- 不祥事を起こしてプロレスに転向
この2点です。
北尾光司の経歴
北尾光司とは
- 22歳の若さで横綱に昇進
- 師匠と衝突し、突然力士を廃業
- 東京ドームでプロレスデビュー
22歳11ヶ月という若さで横綱に昇進しますが、練習嫌いで問題行動が多かったです。
頸椎の怪我や体調不良もあり、横綱として優勝できずに力士を廃業しています。
その後、1990年に新日本プロレスと契約。
東京ドームでプロレスデビューを果たしますが、試合内容の悪さや練習嫌いもあり、観客から応援されることは少ないレスラーでした。
観客がブーイングをし、北尾選手が言い返す。
更にブーイングが飛び交う、という悪循環におちいり、北尾選手は「ナチュラルヒール」としてキャリアを進んでいきます。
試合以外の部分を取り上げると、練習嫌いの北尾選手と、練習熱心な選手を好む長州選手は激しく対立。
北尾選手の問題発言もあり、新日本プロレスとの契約を終了してしまいます。
ジョン・テンタの経歴
ジョン・テンタとは
- レスリングでカナダジュニアチャンピオン
- 佐渡ヶ嶽部屋部屋所属の元力士
- 相撲界のしきたりに馴染めずに宿舎から逃走、そのまま廃業
大学生時代の1985年に来日、佐渡ヶ嶽部屋所属の力士となります。
初土俵から21連勝し、3場所連続優勝を果たしますが、相撲界のしきたりが合わずに廃業してしまいました。
その後全日本プロレスを経て、アメリカWWF(現WWE)へと移籍。
アースクエイクというリングネームで、WWFのトップヒールとして活躍します。
1991年に、WWFと提携していたSWSの興行に参加。
北尾選手との2連戦で八百長事件が起こります。
1991年当時の2人の立場
1991年、八百長事件の時の2人の立場を整理します。
北尾光司 | ジョン・テンタ | |
年齢 | 28歳 | 28歳 |
力士のキャリア | 横綱 | 幕下43枚目 |
プロレスのキャリア | デビュー2年目 | WWFトップレスラー |
この2人は同じ1963年生まれです。
力士としては北尾選手の立場が上ですが、プロレスラーとしては、ジョン・テンタ選手のほうが格上です。
八百長事件の2日前にも、この2人は東京ドームで試合をしています。
ヒールレスラーのジョン・テンタ選手に声援が集まり、北尾選手にブーイングが飛び交うという、いびつな試合でした。
試合はジョン・テンタ選手の圧勝です。
ファンからも汚いヤジが飛び、試合の実況席も北尾選手を酷評しています。
対戦相手のジョン・テンタ選手はプロレスではトップレスラーですが、自身が横綱時代には幕下力士の琴天山関です。
「なぜ横綱を経験した自分が、幕下力士に負けてしまうんだ?」という焦りがあったのかもしれません。
2日後に行われたジョン・テンタ選手との再選で、北尾選手は不穏な行動をしています。
- ジョン・テンタ選手の技にリアクションをしない
- 場外の机をリングに投げつける
- 目に指を突き刺す構えを見せる
最後はレフリーへの暴行、反則負けの裁定です。
怒った北尾選手は、試合後に八百長発言をしてしまいます。
まとめ
「八百長事件」で北尾選手はSWSを解雇。
新日本プロレスとの契約が終了後、北尾選手を救った天龍選手の顔に泥を塗る形となってしまいました。
天龍選手との「元力士タッグ」で試合を行うなど期待をされていただけに、残念な結末です。
最後まで読んでいただきありがとうございます!